「養生訓」という書物をご存知でしょうか?
養生訓とは、江戸時代を生きた儒学者であり、本草学者(現代の薬学者)でもある貝原益軒(かいばらえきけん)によって、健康で長生きするためのエッセンスが書かれた書物です。
江戸時代の人の平均寿命は、40歳程度でしたが、養生訓は貝原益軒が83歳の時に書かれた本だといわれています。
貝原益軒は認知症や寝たきりになることなく85歳の人生を生涯を全うしました。
養生訓に書かれていることは、
・暴飲暴食を避け、バランスのとれた食事を取る
・適度な運動をする
・良質な睡眠を取る
・ストレスは避けて心を穏やかに保ち、楽しみを持って元気に過ごす
という、現代の生活習慣病の予防や治療で大切とされることが全て網羅されています。
そして、もう一つ大切なことが書かれています。
それは、
何事もほどほどに欲を自制する
ということです。
(巻第一の4)
養生の術は、先わがみをそこなふ物を去べし。
身をそこなふ物は、内慾と外邪となり。
(現代語訳)
養生法の第一は、自分の心身を損なうものを除去することである。
心身を損なうものとは、内なる「欲」と外からやってくる「邪気」である。
古代中国医学においても、病気の原因を「内因」「外因」「不内外因」の三つに分類し、それぞれが異なる特徴を持っています。
「内因」は感情の変動によるものや生活習慣等が原因となるもの
「外因」は特に六淫邪気(風、寒、暑、湿、燥、火)や現代でいうウィルスや細菌などが原因となるもの
「不内外因」は、外傷、事故など内因・外因に属さない要因
これらの病気の要因の中で、圧倒的な割合を占めるものは、「内因」です。
つまり、病気の大半は、自分の心の状態や生活習慣によって、引き起こされています。
ここで、もう一度、上記の養生訓を読むと、不健康の要因の内、大きな割合を占めるのは、
・怒り過ぎたり、思い悩み過ぎたり、イライラし過ぎたりという感情の変動
・暴飲暴食、睡眠・運動不足などの不摂生
であるということになります。
生活習慣の見直しなど、誰もが分かっていることですが、なかなか実践に至らないですね。
では、感情のコントロールは?
こちらも、怒らないでおこう、イライラしないでおこう、と思っても上手くいかないと思います。
そこで、樹会で指導しているのは、
呼吸法と発声法による感情の発散
です。
詳しいやり方は、実際にお越しになられて指導を受けて頂かなければなりませんが、ここでは、簡単で効果的な呼吸法を紹介します。
【ストロー呼吸法】
①ストローを口にくわえます
②鼻から息を吸って、胸を膨らませます
③1呼吸、息を止めて、口からゆっくりと息を吐いていきます この時、胸に入れた空気がお腹に移動するようなイメージでお腹を少し膨らませます
※息を吸う時は、清らかな空気が身体を満たし、吐く時は心身の邪気が出ていくイメージで行います
このやり方は、簡単な「逆腹式呼吸」になっています。出来るだけリラックスして、最初は5分程度から始めて下さい。
何秒吸って、何秒吐いて・・・と難しいことは考えないでとにかく、リラックスして行います。
効果としては
☑ 呼吸筋が鍛えられる
☑ 腹圧が高まり、腰痛、便秘などの改善、予防になる
☑ 自律神経のバランス改善になる
等が挙げられます。
なぜ、そんな効果があるかが気になる方は、教室にお越しください。詳しく解説します。
簡単な方法ですが、上手くやると、冷え性や不眠の改善にも繋がりますので、是非、毎日やってみて下さい。